のらくら日記

のらりくらり、つれづれなるままに日々のあれこれを。

「小さな町」のままならぬ人生

2023年11月30日

ソン・ボミの小説には「消える」人たちが

多く登場するという。

自分の意志とは関係のない

外的な要因によって生活が180度豹変することがあったとき、

私たちはどうやって生きていけばいいのか、

そんな難問を考えさせられる小説だ。

物語には1950年代から80年代にかけて、

漁船などにのっていた人が台風や濃霧などによって

北朝鮮の領域に入った時に抑留され

運よく南に戻れたとしても

当時の反共法上、起訴され、懲役刑を受け、

「北越漁夫」というレッテルを貼られ、

息を潜めて暮らさなければならなかった

時代背景があるのだそうだ。

日本でも拉致問題が一向に解決の気配がなく、

親族のみなさんが気の毒でしかたないが、

政治や権力によって翻弄される人生は

いつの世も世界のどこかにあり

苦しんでいる人がいることを

忘れてはならないし、

なんらかの力になりたいと思う。

表紙の装画はタカヤママキコさん、

真っ赤な服をまとった人たちの

シンプルなイラストが素敵です。

 

 

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